【家は生態系】身近にいる小さな生き物、目に見えないと人間のかかわりを知る

読んで良かったおすすめ本

家は生態系というこの題名の通り、
人間の住む家屋、庭には本当に多くの生物が住んでいる。

それは普段目に見える鳥や虫だけではない。

この本の中では、目に見えない存在にも着目し
長年にわたって詳しく研究した結果、
そこから分かること、見えてくる事がまとめられている。

この本を読んで一番強く感じたことは、
目に見えないような小さな虫、菌類、カビなど、
色々な生き物が存在することで
生態系全体のバランスが保たれているということ。

人間にとっても、
そういう生き物達は決して憎むべき敵ではないという事


人間の暮らし方が近代的になればなるほど、
住居に防虫剤を散布したり殺虫剤を使用したりして、
人間は虫や細菌、カビなどを徹底的に
排除しようとするようになった。

そうすることが衛生的で健康的な生活という風に
信じるようになった。
しかし実際のところそれはどうだったのか。

この本を読むと、目に見えない存在も含め
身近にいるそういった生き物達に対して、
きっと見方が変わってくるかと思う。

この本に書かれている実例。
土の中にいる生き物なども、
人間にとって有益な働きをしてくれている。
自然に近い暮らしをしている部族の人達と、
自然から離れて近代的な暮らしをしている人達の
健康面のことを調べてみると、
自然に近い生活をしている人達の方が
アレルギーが少なかった。
この事からわかるのは・・・
花粉、その他植物などのアレルギーが
出ないようにしようと思うと、
そういうものから遠ざかる暮らしをすればいいと
思われがちだけれどそれは逆。

土に触れる機会が多く、
自然に近い暮らしをしている部族の方が
実はアレルギーが少ない。

土の中にいる、沢山の目に見えない生物達。
その恩恵を、人間は気がつかないうちに
沢山受けている。

この本に書かれている実例2。
産まれたばかりの子供も、外の空気に晒され、
お母さんに抱かれて、
沢山の目に見えない菌に晒されることで
免疫力をつけていく。
菌の中には人間にとって無害なばかりでなく
有益なものも存在し、
他の病原菌から人間を守ってくれている。

免疫力をつける機会がなかった子供が
病気にかかりやすいという事実、
それを解決するために有益な菌を活用してみる
という試みは成功している。

生活が近代的になるほど人間は、
虫とか細菌とかカビとかいうと
人間にとって恐ろしい物、有害な物であり、
健康を害する元凶であり、可能な限りな排除すべき物
と考えるようになってきた。

その結果、今までになかった病気まで増えている。

清潔な暮らしをしようというので、
菌を敵とみなして除菌殺菌を一生懸命やるとどうなるか。

虫を殺すために強い殺虫剤を多用し、
雑草を始末するために強い除草剤を使用するとどうなるか。

逆にその中で、薬に対する耐性を持った虫が出てきたり、
細菌が出てきたりして、ライバルが死滅して居ない場所で
それらは一人勝ち状態になる。

そうすると、人間にとって無害なものや有益なものは死滅して、
健康被害をもたらすものだけが残って大繁殖する
といった事もいくらでも起きてくる。
そしてまた、繁殖したものを始末するために、
さらに強い薬剤を用いることになる。

その薬剤そのものも人間の健康にとっては
決して好もしいものではないし、
その薬にも耐えられて生き延びられるよう進化する生き物達は
また次々と出てくる。
その繰り返しに終わりはない。

人間が暮らす家やその周辺にも、
目に見えるもの見えないもの含め多種多様な生物が存在する。
目に見えないものは、人間が呼吸するたびに、
食べ物や飲み物を通じて、体の中にも入ったり出たりしながら
常に人間と共存している。

その全てが自然のバランスの中で
うまく回っていると言ってもいい。
生物多様性が、人間の健康をも守ってくれている面が
あるという事は間違いない。
排除する方向ばかり考えるのでなく、
身の回りにいる多種多様な生き物達と共存し
一緒に生きていくことが一番自然なのではないかと思う。

この本に描かれている内容は、
何処の国であろうと共通して言えることだと思う。
国や地域によっても、そこに生きる生物達の種類は異なる。
自分の生きている国、地域の生き物たちとは
本来共存していけるはず。

日本では、日本の気候風土に合う生活があり、
そこで共存している生き物たちとのバランスもあるはず。
けれど今は・・・
日本らしい生活様式というのが、急激に失われてきている。
必要以上に除菌殺菌に熱心にもなった。

昔にはなかった病気やアレルギーが
増えているのはそのあたりの事も関係あるのかもしれない。

家 、食べ物 、服装、 生活。
日本には日本に一番 合った物がちゃんとある。
どの国でもそうだけど、
そこの気候風土、 そこの生活習慣がある。
変に欧米に憧れすぎて、
合わない生活様式を沢山 取り入れすぎても
バランスが悪くなってしまう。

これは身近であった実例。
日本家屋の良さは 、そのまま生かした方がいい。
古い町家を変な改装の仕方で 変えてしまうと 、
逆に特定の虫ばかりが増えたり、
人体に有害なカビが生えたりする 。
日本の気候風土に合ったものは そのままが一番いい。

その国、地域の気候風土に合った生活。
土や植物に触れ、太陽光を浴びる生活。
過度の除菌殺菌をやめて、常在菌を殺さない生活。
殺虫剤、除草剤、カビ除去用の強い洗剤などを
使わない生活。
目に見えない存在も含め身近にいる生き物たちと
共存していく生活。

そんな生き方の方が、
肉体的精神的に健康に生きられる気がする。

家は生態系―あなたは20万種の生き物と暮らしている

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