小説 色の無い街と夢の記憶⑦

小説 色のない街と夢の記憶

何とか少しずつ起き上がれるようになり、お風呂に入ったり、食べられるようになると元気が出てきた。
学校にも行けそうかなと思って、とりあえず向かってみた。
無理だったら戻ればいい。
そう思ったらかえって気が楽で、行くことができた。
元々目立つ存在ではないので、私が居ても居なくても誰も気にしていないようで、これがかえって助かった。
休んで周りからごちゃごちゃ言われないのが何より嬉しい。

休んでいる間に、これからのことを色々考えた。
そういう意味でも、ゆっくり休めてよかったと思う。
学校へ行く意味は今もわからないし、今まで習った事ぐらいまでで、社会に出て働くにはもう十分かと思う。
大学まで行く人が多い中で高校すら行きたくないと言ったら、ありえないと言われるのは目に見えている。
本音は行きたくないけど、これから先のことをゆっくり考えた時、一人暮らしを始めるにしても資金が無い。
どれくらい必要なのかは、休んでいる間に調べた。どこか借りるのに保証人になってもらうにも、今は親に頼る以外思いつかない。
おじいちゃんおばあちゃんの所に居候するとか、保証人になってもらう事も考えたけど、二人のせいで私が出て行くと思われて家族間が険悪な感じになるのも嫌だし。
今でも、休みに田舎へ行ったことさえ親には隠している。
中学校はあともう少し。あと何ヶ月、あと何日と数えながら卒業を待てば、なんとか行けそうな気がする。
学校へ行く以外の時間は自由だから、これからの計画に時間を使える。連休にはすぐ田舎に行こう。
手伝った分は今回もお金がもらえたし、それを少しずつ貯めていこう。

学校へは、度々休みながらも何とか通って、テストではギリギリ平均点くらいは取れた。
学校が好きにはなれなくても今までと違うことは、今やりたいことが出来たこと。
自分のブログを立ち上げて、夏休みに行った田舎での暮らしのこと、野菜の販売をう手伝った事など毎日少しずつ書いて投稿していった。
あの時撮った写真も入れる。元々文章書くのは大好きだし、写真を撮るのも好き。どんな記事にするか考えている時が一番楽しい。
冬休み前には、気がつけば百記事書いていた。
自分がこれからどういう人生を生きたいかという事も書いたし、学校がどうも好きになれないということも本音で書いた。
本名を明かすわけではないので、思ったことを書ける。
ここまで来た段階で、SNSのアカウントを取って、書いたブログをそっちにも上げるようにしていった。
SNSは情報集めるのにも便利で私の方からも、田舎暮らしをしている人、そこでのバイトを経験している人、花やハーブ、野菜作りをしている人をフォローして、人の投稿を見るのが楽しみになった。
最初は誰も見ていない。
それでも、書いているだけで楽しかった。
ブログを立ち上げて三ヶ月くらい経った頃、初めてコメントが来た。
「偶然見つけて、それから楽しみに読ませていただいてます。田舎暮らしは私も興味があるので、色々と気付きがありました」と書いてあった。
ものすごく嬉しくて、何度も何度も読んだ。それからしばらくして、SNSの方にもコメントが来るようになった。
フォロワーが数十人にはなっていて、ネット上でその人達とやり取りするようになった。
ブログの方も最初は閲覧数なんて気にした事なかったけど、何気なく確認したら毎日20〜30人は見に来てくれている。
誰にも読まれなくてもいいし書きたいから書こうと思ってただけなのに、これは私にとってすごい事だった。
嬉しくて、気を付けないと授業中とかにその事を考えて顔が笑ってしまう。

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