『キングダム』で学ぶ最強のコミュニケーション力 を読んで。想像以上の面白さで一気読みした本の感想

読んでよかった実用書

原作漫画が好きな事から買ってみたこの本。
自分も自営業者だし、内容も気になるところ。
読み始めると面白さは想像以上で一気読みした。

著者は二つのコーチングスクールの経営者。
コーチングのプロであり、
過去には人材派遣会社での飛び込み営業の経験もある。
そういう著者の視点からキングダムの物語の名場面を引用、
仕事の場面でもプライベートでもコミュニケーションに
役立つ内容が数多く語られている。

主人公の信から学ぶ

この本は、大きくは四章に分かれている。

本編に入る前に
コミュニケーション力を上げるには
自分を客観的に見る自己認識力が大事
という事も書かれている。
この自己認識力を、新兵から大将軍まで
レベルを6段階に分けて書いた表もあって
とても分かりやすい。

自己認識力が高まると視点の数が増える。

本編一章は主人公から学べる事について
書かれている。

は未来志向で物を考えている。

自分は天下の大将軍になる男だと決めている。

誰に対しても、はっきりそう言い切っている。

実際に挙げた武功を言える場面でも、それではなく
この事を言い切った

自分の大前提を決めている人間は強いし、
人にもそれが伝わる。

王騎将軍の矛を受け継ぐことができたのも、
きっとこの大前提があったからに違いない。


戦の中では当然、命を落とす者も多い。

そんな中で、が隊員達に話す場面。

家族の事を思い、複雑な気持ちになる隊員に対して
強制的に従わせるのではなく
今の戦いがどんな意味を持つのか、
その目的とこれからの事をはっきりと分かるように伝えた。

は、自分の仲間に対して絶対的信頼を置いている。

上から目線で人をジャッジする事がない。

敵に対しても、正義か悪かでジャッジしない。

話す力だけでなく、人の話を聴く力を持っている。

その事も、言わなくても皆に伝わっていて
のために頑張る人、応援する人が出てくるのだと思う。

本の中では、私もとても感動した尾到のシーンも引用
されている。



このブログの中のイラストは全てArtemis様の作品です。
他の色々なキングダムキャラのイラストもこちらから
観れます。

キングダム信

 

ワンランク上のコミュニケーション能力

第二章では、ワンランク上のコミュニケーション能力について
語られている。

コーチングの世界に、オートクラインという言葉があるとの事。

クライアントが自分の声を聞き自ら考え自己検証していく事を指し、
多くを語らずに人にこれを促すのは高度なテクニックが必要と
いう事が書かれている。

これが出来る人は滅多にいないので、すごく分かる気がする。

著者が、キングダムの作品の中でも特に「最強のコーチ」
「コミュニケーションの達人」と尊敬しているという人物が

続いていく成功をおさめている人には必ず有能なNo.2がついて
いるという事。

王騎将軍にとってはまさに副官のがその存在。

決してセリフが多い方ではない。

かと言って、何でも言われたら従うだけのイエスマンでもない。

の最強のコミュニケーション術、そして王騎を認めて
高く評価しているところ。

それが分かる場面がいくつも具体的にあげられていて、
一つ一つなる程と納得した。

この章ではの他に、桓騎軍から飛信隊に移った那貴
趙国の現三大天の李牧の話が出てくる。

ワンランク上のコミュニケーションが出来る人物というのは、
共通して謙虚であり、それでいて大胆さも持っている。

器の大きい人物は、敵味方の区別だけを見るのでなく
中華のこれからという全体像を観ている。

「大将軍に威圧感は要らない」とこの本では書かれていて、
その通りだと思う。

キングダム 李牧

敬意の視点

相手本人だけでなく、相手の大切にしている事や
大切にしている人物に対しても敬意を表す。

相手への気遣いが最高に高まった時の、感謝と尊敬の気持ち。

この章では最初に、郭備千人将が殺されてしまった事で
飛信隊に入る事になった元郭備隊の兵士達ととのやり取りが
取り上げられている。

お互いに敬意の視点があったからこそ、心を一つにして一緒に戦える。


次に、敬意の視点を持っているコミュニケーションの達人として
蒙恬のエピソードが二つ続く。

蒙恬の特徴は一言で言うと「自然体」だと、本の中で語られている。

全体を観る視野の広さ。

そしてその中で、自分が一番何をすべきかよくわかっている。

輪虎を討つために三人で話し合う場面でも、
蒙恬のコミュニケーション能力の高さが見える場面が。

決して人を全面否定しない。

人を不快な気分にさせない話し方をしている。


この後は、再び主人公の場面。

嬴政と二人で、山の王楊端和を説得した時の場面が
引用されている。

映画化された時も見せ場だったこの場面。

相手の怒りを買えばすぐにでも殺されそうな緊迫した状況。

この時嬴政に、山の民やその祖先達に対して敬意の視点が
あったからこそ楊端和の心は動いた。

この数年後、嬴政もさらに成長している。

蕞の戦いでの二人の場面もこの後に引用されている。

さらに、

嬴政の中に敬意の視点が生まれるきっかけになった
紫夏とのエピソード。

紫夏は命を落としたけれど紫夏の中にあった敬意の視点は
嬴政に受け継がれていく。

この他にも、敬意の視点を持つ人物として
楊端和バジオウへの言葉、王騎将軍の死際の言葉について
本の中では語られている。

王騎将軍も、死際にとても美しい言葉を残していて、
そこにも周りの者達に対する敬意の視点が見える。

王騎将軍の器の大きさがわかる場面。

キングダム信と政

想定外の視点

キングダム蒙恬

最後の章では、
想定外の視点と最高のコミュニケーション力というところで
桓騎将軍、河了貂のコミュニケーション力について
語られている。

河了貂の想定外の視点としてあげられているのは質問力。

自分が話す方ばかりでなく、コミュニケーションにおいては
質問する力もとても大切。

相手が自ら考えるように促す、相手の本音を聞くという場面では
この質問力が問われる。

本の中では、羌瘣に対する質問の場面について書かれている。


もう一人、キングダムキャラの中でもとても人気のある桓騎将軍の
想定外の視点について。

元野盗で残忍なところもある桓騎は、それだけでなく人間的な
魅力に溢れている。

戦いの場面で、特に根拠を示さなくても確信に満ちた一言で
皆の心を掴む。

引用されているもう一つの場面は、蕞の戦いの時の張唐との会話。

桓騎らしさはそのまま表現されていてぶっきらぼうない中に、
その裏にある感情の部分が伝わってくる。

本の中でとりあげられている二つの場面は、
私もとても好きな場面で楽しんで読む事が出来た。

想定外の視点を持つというのはなかなかハードルが高そう。

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