この本の何が印象に残ったかというと・・・
大きく分けて2つの意味で
考えさせられるところがあった。
1つは、
誰もが今自分が観ている世界を
「これが現実」と思って観ているけれど
本当にそうなのか?
現実というものが何か実体のない物にも
思えてきた。
現実と思っている今も、
自分の人生も、もしかしたら誰かの作った
物語なのかもしれない。
また、自分で自分の物語を作ることも
自由に出来るのかもしれない。
もう1つ思った事は、
同じ出来事に対してそこに関わる人によって
言う事が全然違うということ。
推理小説ならここで、
誰が嘘を言っているのかという事になるけど
それとはまた違う。
どんなことも、
その人にとってはそれが真実なのかもしれない。
二人の人間の間でも、数人の間でも
誰一人として全く同じ考え方の人はいない。
という事は、ある物事
または過去の出来事に対して
「これはこういう事」
「あの時の事はこうだった」という見方が
人によって全然違っていたとしても、
それがその人にとっての真実。
考えてみれば何も不思議な事ではないとも思う。
占いという自分の仕事の中でも
それはよく感じるところなので、
色々と重なるものがあり印象に残った。
ここから
内容のネタバレを含むので嫌な方は
お気を付けください。
この本は、
若い小説家が少し奇妙な仕事を受ける
というところから物語が始まる。
自分の書いた絵本のファンだという女性と
会ったのが始まり。
その仕事とは
若くして亡くなった姉の半生を描く
伝記のような物を書いて欲しいという内容。
作家の姿形が
亡くなった姉にとても良く似ていて、
国語教師だったその彼女の夢も実は
小説を書く事だったという。
作家は、怖いとも思いながら
好奇心に負けてこの仕事を引き受ける。
書き進めていく中で色々な事を知る。
この女性から聞いた内容と、
実際にどうだったかというところに
どんどんズレが生じてくる。
事実っていったいどこにあるのか?
どれが本当で実際のところどうなのか?
関わる人が複数いる中、
誰の言っている事が真実なのか
さっぱりわからなくなってくる。
最初、こういう事だと思って読んでいく。
それが途中で、
え!?もしかして全然違うの???
という事になる。
そしてさらに、これも違うの!?!
いったい何が本当???
そんな感じで次々予想が裏切られる。
だからなお目が離せなくて
どんどん読んでしまう。
そして最後の・・・
こちらが現実でこちらが架空の物語と思って
読んでいった自分も騙されたのか(;^ω^)
意外などんでん返し。
途中、サスペンスやホラーの様相を帯びてきたか
と思うところがある。
そういう展開を期待して、
そういう話が好きという人にはこのラストは
もしかしたら好みではないかも。
逆に、残酷な場面や怖い話は苦手という人には
そういう展開になりそうにも見えつつも
それは無いので安心して読める。
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