【ひねもす なむなむ】感想 悩んでも後悔しても沢山体験する人生は素敵

読んで良かったおすすめ本

この本の中で印象的だった言葉。

過去でもなく
未来でもなく
「今」を感じて「今」を生きる。

お寺というのは昔、
集落の寄り合い所のような場所だった。

死んだ人とのお別れの行事は、
生きている人のこれからのためにある。


正確な内容は少し違うかもしれないけど、
読み終わって覚えている事をそのまま書いた。
登場人物が皆それぞれの悩みを持ち、
過去の出来事を忘れることができず、
色々な思いを胸に秘めながら生きている。

それを持ったまま、亡くなってしまう人も。

主人公は十五歳から寺で修行した若いお坊さん。
十年ほど経った時、それまで居た場所を離れ
日本の南から北へ移動して新しい生活が始まる。
転職先の寺は、今まで居た観光地にある寺とは
かなり雰囲気が違っていた。
ここでの仕事は、
地域に密着してそこの人達と深く関わるものだった。
この地域は震災があった場所でもあり、
多くの人がその時に亡くなっている。

最初は自分に全く自信が無かった主人公の仁心は
仕事を続けていく中で老若男女色々な人と出会い、
人の悩み、人生の話を聴いていく。
そして日々考え、決断して行動する。
そんな繰り返しの毎日の中で、
わずか1年ほどで精神的に大きく成長する

仁心だけでなく、周りにいる他の人達も
それぞれに大きく変わっていく。
他の登場人物の事を詳しく書くと
物語の核心に触れるネタバレになるので
ここでは書かない。

人間の感情は複雑。
怒り、悲しみ、寂しさ、嫉妬、恐れ、不安、
期待と失望、尊敬と幻滅、虚しさ・・・

でもどんな感情も人間らしさだし、
全部が貴重な体験。

人は、表面に見えている雰囲気とは全く別の
一面を持っている事もある。

最初から最後まで沢山の見どころが
詰まっている本。
物語として読んでも当然面白いけど、
カウンセリング、占いなど
人の話を聴く仕事の人にもこの本は
参考になるところが多い。

ひねもすなむなむ (幻冬舎文庫)

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