【樹木たちの知られざる生活】を読んで 植物に対する意識が大きく変わる

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植物も愛情をもって育て、
話しかけたりすると
確かに長く元気でいてくれる。
それくらいのところまでは、
植物を育てた事のある人なら
感じていると思う。
私もそうだった。

でも、はっきりと見える形で
感情表現をする動物に比べると、
植物を「生き物」と認識する感覚は
少なかったかもしれない。
その意識が、
この本を読んで大きく変わった。

木は、樹齢数百年、数千年でも
まだ成長を続けている。
人間や動物に比べるとかなりゆっくり。
歩いて移動する事が出来ない分、
環境の変化にも強い。
寒い冬を耐え抜くために葉を落とす事も、
積極的に植物が行っている対策。
環境によって、早く成長したり
ゆっくりと成長したり、生き延びるために
色々な工夫をしている。
植物は子育てもする。
仲間同士情報を伝えあい、協力する。

植物同士の間で、動物が来たことを
伝え合う事も出来る。
葉が食べられてしまうのを防ぐため、
苦味のある物質を出して対抗する。
これを隣にいる植物に伝える。

植物が発す音。
動物で言うと鳴き声に相当するのかも
しれない。
まだはっきりとこれが何なのか
証明されてはいないけれど、
植物同士が危険を知らせ合うなど
出来る事を考えると
鳴き声であると考えられなくもない。

植物は同じ種のものはお互いに
協力し合って生きている。
弱った木があれば養分を分け与え、
仲間を助ける。
倒れて死んでしまった木も、
自然界の中で動物や昆虫の
居場所となったり、養分となって
他の木を助ける事になる。

動物、鳥、昆虫、細菌は
植物にとって天敵にもなるけれど
助けになる場合もある。
木は移動できないけれど、
他の生き物によって種が運ばれ、
少しずつ移動していく。
自然界では完璧なバランスが
保たれている。

木は、人間に資材を提供するための
自動生産機ではない。
植物が人間や動物と変わりなく
生きているという事を知れば
これ当たり前だと思える。

人工的に育てられた木は
災害が来ると死んでしまいやすいが
自然界の木は強靭で、とても長く生きる。

樹木たちの知られざる生活──森林管理官が聴いた森の声 (早川書房)

文庫本はこちら
樹木たちの知られざる生活 森林管理官が聴いた森の声 (ハヤカワ文庫NF)

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