【放課後ひとり同盟】 内容と感想

読んで良かったおすすめ本

この本は短編集で5つの物語が収録されている。
それぞれの物語の主人公は高校生、大学生、
中学生など若い世代。

恋愛や友情、家族の事、学校での事など
様々な事に悩む彼らと、
彼らを取り巻く大人達や子供達。

何章目から読んでも、
それぞれ単独で完結している話なので
内容は問題なくわかる。

それでいて5つのストーリーは
重なりあっている。
1つの話に出てくる登場人物が、
違う物語の中にもまた出てきていたり。
そこがまた面白い。

この人から見たこの人は、
こういう風に見えてるんだ。
他の人から見たのと全然ちがうんだ。
この人はこんな風に感じてるんだ。
さっきの話の中で見たのと何か全然違う感じ。

そういう事がいくつも出てくるのが
すごく新鮮で楽しめる。

人は誰一人として、
全く同じ世界を見ているということはない。
ゲームに例えるなら自分というプレイヤーがいて、
他の人達というプレイヤーがいる。

自分の見ているゲームは自分が中心。
自分から見た他のプレイヤーがいる。
逆に、他の人から見た自分はゲームの中の
「他のプレイヤー」の一人。
見えている世界は皆それぞれ違う。

どの物語にも共通して、大人も子供も、
この物語に出てくる人の中で完璧な人はいない。
無敵のヒーローほヒロインも存在しない。

脇役の、けっこういい歳の大人達の中にも
完璧な人など存在しない。
自分勝手だったり感情的だったり。
でもみんな一生懸命生きてる。
この本を読んでいると、
人間って愛しいなと思える。

ズルくて賢くて人間をよく見てる犬も登場して、
これでまた面白さを増している。
人間以上に人間の事をわかっているような犬。
人間も動物も、生き物はみんな逞しく
憎たらしくてそして愛しい。

放課後ひとり同盟 (集英社文庫)

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