【ひと喰い介護】内容と感想

読んで良かったおすすめ本

架空の話だけれど、
あり得そうに思えてかなり怖い。

物語の舞台となるのは、
豪華な設備とサービスが提供される
老人用の高級なサロン。

この物語は、主人公が誰なのか
はっきりしない。

孤独で裕福な高齢者を狙う罠。
それに捕まってしまい壊れていく老人。
罠を仕掛ける側の女性。
そこに勤める女性達。

それぞれが、自分の事を一番に考えているし
罪悪感や正義感を持ち合わせている人もいる。
でも自分の立場や収入も気になる。
正義感だけで動くヒーローもヒロインもいない。

だからこそ恐ろしくリアルで、
本当にありそうな怖さが
ひしひしと伝わってくるのかと思う。
はっきりと犯罪と言えるような
殺人事件が次々起きるわけでもなく、
やり方が巧妙なだけにかえって怖さが増す。

正義の力で悪を裁くというような、
単純な話ではない。
なので、そういう痛快さを求める人には
向かないかと思う。
読んで爽やかになれる話ではないから。

主人公がはっきりしないだけに、
登場人物の中の誰の立場からも
読むことが出来る。
自分ならこの時どうするか・・・
ものすごく考えさせられる内容。

豪華で美しい建物と設備。
洗練されたサービス。
華やかな交流。
知識豊富で人当たりが良く優しい女性。
成功者の雰囲気漂う若手社長。

そういった世界の裏側にある、
隠された闇とは・・・

ひと喰い介護 (集英社文庫)

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