【はてしない物語 上下巻】あらすじ感想

読んで良かったおすすめ本

先に感想から。
私の勝手な解釈もかなり入っているけど
架空の世界での物語である本の内容は、
強く伝えたかったメッセージがあって
書かれたものではないかと思う。

作者のミヒャエル.エンデが生きたのは、
1929年から1995年。
この物語が書かれたのは1970年代。
世の中の状況は、大量生産大量消費の方向へ動いていた頃。
会社の規模はどんどん大きくなり、
多くの人が毎日時間に追われて会社の歯車としてあくせくと働く。
そんなピラミッド型のシステムが、
よりはっきりと形作られていった時代だったと思う。

昔ながらのの人々の繋がりや、
一人一人が個性を発揮する世の中から統一された世の中へ。
こういう人が「できる人」という見本のようなイメージが
刷り込まれ、そうでない人は「できる人」に憧れて
今のままの自分を好きになれない。

ミヒャエル.エンデの他の作品で、この作品の前
近い時期に書かれた作品の 【モモ】を読んでもこれは感じる。
時間泥棒に征服されていく町を救う浮浪児の女の子が主人公の物語
【モモ】の中では、世の中が向かっている方向に対して、
これはまずい方向に進んでいるのではないか?
自分のペース、自分の楽しみ、自分の時間を取り戻そうという
メッセージが込められている気がする。
この物語のラストはハッピーエンドだった。
そうすることは可能だというメッセージなのかと思う。

その次に書かれたこの作品【はてしない物語】からは、
人間の心の持ち方、思考の力が全てだという事が伝わってくる。

ここから本の内容、あらすじのネタバレあり。

物語の最初では、主人公の少年バスチアンは
母親が亡くなってから父親との間にも距離を感じてしまい、
学校でも虐められるという最悪な日々を送っていた。

ある日、いじめっ子に追いかけられて逃げている時
本屋に迷い込む。
そこで見つけた不思議な本に抗えない魅力を感じて
盗んで持って帰ってしまい、
誰にも見つかる心配のなさそうな学校の屋根裏の物置に
隠れて本を読み始める。

学校を無断で休んで、
皆が教室に入ってきて普通に勉強している様子を
上からうかがいながら、バスチアンは本を読み始める。
この本の題名が「はてしない物語」
バスチアンは、ハラハラドキドキするような冒険ものの
ストーリーが好きだった。

本を読んでいくうちに、読んでいる自分自身が
この本の内容と関わっているのが分かってくる。
怖くなりながらも本を読み進めたい誘惑に勝てず、
読んでいく中でついにバスチアンは本の中の世界に入ってしまう。

この本の中でバスチアンは、
今まで認識している現実の自分ではなく全く違う姿形、能力、
性格になっていく。
最初に変わったのは姿形で、この本の中に入ってすぐのことだった。
現実のバスチアンは、
太っていて運動も勉強も苦手で自分に自信もなかったが、
この本の中に入ってからは、美しい王子のような姿になり
武力を身につけ、知恵を身につけ、恐れを知らない性格になっていった。

ただ一つバスチアンが元々得意としていたことは、
空想の中で何かの名前や物語をどんどん作り出せるということ。
その特徴は本の中に入ってもそのままだった。

バスチアンは、この本の中の世界ファンタージエン国で、
この世界の中心にいる幼ごころの君、勇敢な少年アトレーユ、
ファンタージエンの危機を救うため一緒に行動する3人の騎士達など
色々な人達と出会う。
ファンタージエンは今最大の危機に陥っていて、
この国を救うために様々な冒険をする。

バスチアンが外見から能力、性格まで「こうなりたい」と思えば、
ただ思っただけでそれは全て叶っていった。
そのかわりに元の世界での記憶を一つ一つ失っていった。

バスチアンと友達になっていたアトレーユは、これが危険な事だと気がつき
バスチアンに気付かせようとするが伝わらない。
ついに二人の間には決定的な亀裂が入ってしまう。

そうなってから後にバスチアンは、
自分の結末がどうなりそうなのかということに気がつき、
引き返そうとするが以前の記憶はもうほとんど残っていなかった。
どうしたら元の世界に帰れるのか分からない。
その状態のまま彷徨い歩き、
それでも最後には、帰れる道は開かれてハッピーエンド。
アトレーユとの友情も戻った。

ここでの記憶を持ったまま元に戻ったバスチアンは、
見た目も中身も全て元のままになったけれど
気持ちの持ち方だけが大きく変わっていた。

自分以外の誰になりないとも思わない。
そのままの自分を愛することができた。
バスチアンが自分の考えをはっきりと伝え行動する様子を見た
バスチアンの父親は、息子の内面の大きな変化にすぐ気がつく。

こんな見た目になりたいとかこんな能力が欲しいとか
そういうことではなく、
思考一つで人は思い通りに自分の物語を作っていけるというのが
この本のメッセージなのかと感じる。

世の中がどれほど変わったとしても、
最も大きな影響力を持つのは一人一人の思考の力。

はてしない物語 (上) (岩波少年文庫 (501))

はてしない物語 (下) (岩波少年文庫 (502))

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