被害のあと
7月23日
あの地震から丸二日経った。
ほとんどの人はまだ、避難所である俺の家で休んでいる。
怪我をした人の手当てに関しては、昔から伝わる民間療法に詳しいタネ婆さんが居るから安心。
部屋は沢山余ってるし、食糧は自分の家が無事だった人達が持ってきてくれる。
俺は場所を提供しているだけで、気がついた誰かが掃除もしてくれるから、一人で住んでいた時よりむしろ家が綺麗になっている。
元々全員顔見知りだし、大変な事が起きたけど皆んな近くに居ることで安心感もある。
野生の動物達は、ほとんど山に逃げたらしい。残っているのは、誰かの家で飼われていたり、村人の家に出入りしていた動物達だけで、猫が25匹と犬が11匹居る。
俺はリキと一緒に村を見て回って、倒壊した家屋がどこまで直せそうか確認してこようと思う。
7月24日
潰れたり焼けたりして、とても住める状態ではない家が多い。
夕食の時に火を使っていたとしても、あんなにも酷く燃えて全焼状態になるものなのかと疑問にも思った。
戻ってから俺も消火作業を手伝ったけど。中から徐々に燃え広がるのではなくて、短時間で外側から黒焦げになった感じ。
まるで火炎放射器かなんかで上空から焼かれたんじゃないかと思うくらいの酷さだった。
消火作業にも救助にも、村の外からはいつまで経っても誰も来なかった。
地震そのものが、自然発生したものではないとリキは言ってたし。状況から考えて、俺もそっちの方が可能性高いんじゃないかと思う。
考えたくないけど、強行突破で開発を進める方針で、色々起こされてるのかもしれない。
リキが言ってたように、説明会に来てるような人達に何か言ったところで解決は無いと俺も思う。もっと上からの命令で全てが動いてるとしたら、実行してる人達は言われた通り行動しているだけで、計画の全体像すら知らない可能性も高い。
7月25日
リキからもタネ婆さんからも言われていたし、俺もある程度は予想していたけれど、村から出て行く予定の人がけっこう居る。
村には高齢者が多い。それでも皆元気だから今までは、一人暮らしの人も老夫婦も、不自由無く楽しく生きていた。
ところが今回の地震で家が潰れたり焼けたりして住めなくなった。
これを機会に村に住み続けるのは諦めて、街に住む家族のところへ行くと言う。
怪我をしたことでちょっと弱気になった人も居るのかなと思う。
行き先があるということは幸せなことだし、良かったと思うべきなのかもしれないけど。
村人の数が一気に十人以上減ってしまうのは、正直やっぱり寂しい。この村では、年を取っても皆病気知らずで活力に溢れていた。
それは、この村にある豊かな自然と食物のおかげだと思う。
俺もこの村で、そういう一生を過ごしたいと思っていたのに。
俺の思っている事は、リキにはいつも全部伝わっている。
リキからは「分かるよ」という、ただそれだけが伝わってくる。
どんなに多くの言葉で慰めや励ましをもらうよりも、これだけで癒されるし安心する。
精神的に崩れそうな時も、リキのおかげで何とか立ち直れるし助かっている。
7月26日
地震から五日経った。やっと道が通れるようになったらしい。
その割には、村の外からは救助も何も来ないけど。今日は、俺とリキが外を回っていた間に、避難所である俺の家にマイクロバスが来たらしい。
『ここから移動して、落ち着ける場所に一旦避難して、村が元通りになったらまたここに戻ってこれるので乗ってください』と言っていたとか。
俺は後から、タネ婆さんに聞いた。壊れた家が住める状態になるまでの間、家族の所に帰る予定が無い人のための公的機関からの支援とかいうことらしい。
タネ婆さんが行き先を尋ねると『乗ってから伝える』と言われたとか。
行き先も分からないものに乗りたくないし何だか怪しいと思った人達は避難所に残ったけれど、二十人が乗って行ってしまった。
また、ごっそりと人数が少なくなった。
『村が元通りになれば・・・』とか言ってくる割には、直そうという気配すら無いのも怪しい。
元通りではなくて、人が居ない間に開発を進めて、以前とは全く違う形にするつもりなのかと思う。
7月30日
家族の所に帰る人達は、街から迎えが来て皆んな去ってしまった。
やっぱり寂しい。
タネ婆さんの所に滞在していた茜さんは、まだ残ってくれている。
俺にとってはそれが救い。
村の暮らしがすごく気に入って当分帰らないつもりだというのを聞いて、俺もすごく嬉しかった。遊びに来ている時にこんなことになって災難だったし、すぐに帰ってしまうのかなと思っていたけど。
いい意味で予想が外れた。この村が大好きな俺は、同世代の若い女性が『ここの暮らしが好き』と言ってくれるのは本当に嬉しい。
良太もそうだけど、若い世代で村に残る人が増えていけば、村はこれからも存続していく。
茜さんがいつまで居てくれるのかは不明だけど、少しでも長く居てほしい。
何ならずっと住んでくれたらいいのに。
街で両親の商売手伝ってるらしいし無理なのかな。
『それでもとりあえずは、茜さんが当分居てくれる事になって良かったじゃないか』と、リキから伝わってくる。
最初に茜さんを見た時から俺が『ちょっといいな』と思った事も、リキには多分バレてると思う。彼氏いるのかどうかは、まだ聞けてないけど。
村に残っている人間は、会合に参加していた俺含め七人と、茜さん。バスに乗らなかった十人。
全部でそれだけになってしまった。
この中には怪我人は居ないし皆んな元気だけど。
地震があった直後は人でいっぱいだった場所から、どんどん人が減っていって、今は人間より猫の方が多い。
それでも猫達が居てくれるおかげで、毎日癒されている。
『人間がずいぶんと少なくなったねぇ』
『なんだか寂しい感じになってきたけど、でも残ってる人間は皆元気そうだし何よりだねぇ』
猫達はそんな風に話していて、毎日ここでゆったりと寝転んだり、遊んだり、外を散歩したりして過ごしている。
村を離れて山に住もうかという話も相変わらず出ているけれど、急ぐ感じも深刻さも無い。
『どっちにしても何とかなる気がする』と思っている根拠の無い自信が伝わってきて、猫独特のそんな雰囲気に、俺達人間も救われている。
和人が日記を書き終えた時、リキが机の上にポンと飛び乗った。
今日は、大きくなっても小さくなってもいない普通の猫の大きさだった。
とは言ってもリキが普通の猫として生きていた頃のサイズだから、平均的な猫よりはかなり大きめで、机の上がいっぱいになった感じがする。
「和人は最近ずっと深刻な顔してるみたいだけど。一人で悶々と悩んでも解決しないぜ」
「分かってる。奴等はかなり強引に開発進める気みたいだし、早く何とかしないとって俺も思う」「このまま行ったら多分、村の復旧工事をやると見せて、開発の方向に持っていく流れもあるんじゃないかな」
「全く壊れてないのは、こことタネ婆さんの家ぐらいのもんだからな。今はほとんどの家は無人だし。人が居ない間に好きなように出来るってわけか」
「元通り直してるだけなのか作り替えてるのか、あそこまで丸焼けになったら分かりにくいからな」
「家族のところに帰る人が居るのは仕方ないにしても、あのバスはどうも怪しかったよな。皆んなが喜んで乗って行ったなら、俺達が居たとしても止められなかった可能性は高いけど」
「それはそうかもな。でも、最初から一緒にやってきた和人達七人以外にも、残ってくれた人が居て良かったな」
「それは本当にありがたいと俺も思ってる」
和人とリキが話していると、隣の部屋に居た猫達がゾロゾロと入ってきた。
猫達も、ここに残るのか村を捨てて山に移動するか、何となく考えているのでこの話題には少なからず興味を持っている。
「和人は、出来たらここに残りたいんだろ?」
「そうだな。一番長くここで生きてるタネ婆さんでさえああ言うんだから、相当難しいのは分かってるけど。どうしてもまだスッキリ諦めきれない」
「和人の場合、自分だけじゃなくて、受け継いだものもあるもんな」
「それは大きい。先祖がずっと守ってきてくれた土地と家を、簡単に明け渡すのは何か裏切りみたいな気がするんだよな。それだけじゃなくて、俺が単純にここが好きなのもあるんだけど」
「たしかにここはなんか居心地いいからねぇ」
「そうそう。安らぐねぇ」
「ここがいいって言うのもね、何となく分かる」
猫達は、長々と寝そべってそんなことを話している。
そんな猫達の様子を見ていた和人は、自分もいい感じで脱力してくる気がした。
深刻になって悲壮な決意で「ここを守らねば」という心境になっていた自分に気が付く。
固くなるとアイデアも出ない。
力を抜いていこうと思った。こ
こに居る人達も、動物達も、誰かが集まって話していると何となく皆近くに来て、意識しなくても情報を共有出来ている。
「山の方がどうなってるかも、ここしばらく見に行ってないから一回行こうかな」
和人は、リキに向かってそう言った。
次々と仕掛けられる策略
地震のあとは自分達の事で精一杯で、しばらく行っていなかった。
「俺もちょうど気になってたし。行くか」
「ありがとう。リキ。二、三時間留守にしますけど今日のうちには必ず帰ってきます」
和人は部屋に居る人達に向けてそう言って、リキと一緒に出かけて行った。
時刻は夜七時を少し回っているけれど、日の長い真夏なので外はまだ明るい。
暗くて人目が無ければリキは和人を乗せてくれるけれど、まだそういうわけにもいかないので普通に歩いた。今から真っ直ぐ山へ向かう。
どんなに遅くなっても日付が変わる前には戻ろうと話した。
数分歩いたところで、向こうから誰か近付いてくるのが見えた。女性のようだ。
「誰だろ?」
「俺も見たことない。村の人じゃないな」
「自治体の職員かな」
近付いて来る女性に対して、和人は軽く会釈をした。
自治体の職員だとしたら、彼らに対していい印象は持っていないけれど、完全無視するのも大人気無いと思った。
和人とリキはテレパシーでやり取り出来るし、リキの姿も、リキが自分で意識して見せようとしない限り、ほとんどの人間には見えない。
「こんにちは」
近付いてきたのは、やはり女性だった。
にこやかに声をかけてきたので、和人も挨拶を返した。
この村ではほぼ見かけることの無い、若い女性だ。若いけれど十分大人の女性で、見たところ二十代半ばくらい。
しかも、和人が今まで見たことが無いタイプの、美しく都会的な女性だった。
ほのかに薫る香水の甘い匂いに、和人は一瞬頭がぼおーっとなってしまった。
女性はスラリと背が高くて、均整のとれたプロポーションをしている。
豊かなバストを強調するように大きく開いた胸元、キュッとしまったウエストに、和人は視線が釘付けになってしまいそうで慌てて目を逸らした。
ヒールを履いているにしても、身長173センチの和人と目線の高さがあまり変わらない。
美しく化粧を施した顔は彫りが深く整っていて、西洋人のような印象だった。
髪の色も金褐色だし、目の色は深い青だし、肌の色は透き通るように白い。
日本語の発音は自然だけど外国人か、ハーフかもしれない。
服装もセンスが良くて都会的で、絶対に村では見かけないタイプの女性だった。
和人は胸の高鳴りを感じた。
「すみません。ちょっと道を教えていただいてもいいですか?」
女性は、スマホの画面を指しながらそう言った。
「いいですよ。どこ行かれるんですか?」
自治体の職員じゃなかったのかなと思いながら、和人は答えた。
ふと、背後から強い視線と不穏な気配を感じた。リキだ。
この女性には、リキの姿は見えていない。
和人は女性の方を向いているので見ていないけれど、リキが戦闘態勢に入っているのが分かる。
全身の毛を逆立てて、低く唸っている。
村人の誰に対しても、リキがこんな風に攻撃的になった事は一度も無かった。
むしろ村人皆と仲良くやっている。自治体の職員に対してですら、策略的に怖がらせる事はしたけれど、こんな風にはならなかった。
和人はリキの様子が気になりつつも、女性は普通に話しかけてくるし、急に無視して逃げるわけにもいかない。
「ここへ行きたかったんですけど」
と言って女性が指差したスマホの画面を見ると、この村のさらに奥にある村の方だった。
そこでも既に、開発がかなり進んでいる。
宿泊施設もいくつか出来ているし、行きたい人が居ても全然不思議では無い。
事実、和人は今までにも何度か、旅行者らしき人に道を聞かれたことがあった。
「このままここの道を真っ直ぐ奥に進んだら、多分分かると思うんですけど」
「ありがとうございます。助かりました。あの・・・さっきから思ってたんですけど、もしかして、藤野森さんって家の方じゃないですか?私の知ってるのはもう少し年配の方なんですけど。あまりにそっくりなので」
「え?そうですけど・・・父と知り合いだったんですか?」
女性は、和人と父親の名前だけでなく、母親、祖父母の名前まで知っていた。
何でこの女性が、自分の家族の事までこんなに詳しく知っているのか、和人は一瞬疑問に思った。けれど『父と知り合いだということは、父から聞いたのかもしれない』と思って納得した。
父親が亡くなった頃和人はまだ小さかったので、父親にどんな友人が居たのかなど覚えていなかった。
それに、話しているうちにこの女性の美しさと魅力に胸が高鳴るのを抑えきれなかった。
都会に住みたいと思ったことは無いし、友人が皆んな街に出て行った時でも自分だけは村に残った。都会への憧れなど無いつもりだったのに、都会的な魅力のある女性を見て『いいなぁ』と思ってしまっている・・・和人は自分を観察して、そんな風に思った。
「もし差し支えなかったら、一度家に行ってみたいんだけど」
「え?俺の家ですか?」
「ずっと以前に行ったことがあるもので、あなたを見たら思い出して何だか懐かしくて。外から見るだけでもかまわないから」
「俺は・・・別にいいですけど」
「嬉しい!行ってもいいのね!」
背後に居るリキの気配が、いよいよ不穏になってきたのを和人は感じた。
刺すようにビリビリと伝わってくる。
ただでさえ普通の猫より大きいリキが、全身の毛を逆立てて倍ぐらいの大きさに見えているだろうと想像出来た
。和人が見る限り、この女性はどう見ても普通の人間で、幽霊や妖怪なんかでも無さそうだし、リキがここまで警戒する理由が全く分からなかった。
女性は和人に対して、最初は敬語だったところからどんどんくだけた感じになってきて、いつのまにか初対面なのにタメ口になっていた。
和人としてはここが気にならないでもなかったけれど、ただフレンドリーなだけかもしれないと思って聞き流していた。
でも、リキからのメッセージを無視する気にもなれない。
リキが普通の猫だった間も、猫又になってからも、いつも一緒に居て、いつも助けてくれている。今も、自分には分からない何かがあるのかもしれないと和人は思った。
「すみません。急に今からっていうのはちょっと・・・今からは行く所があるので、今日は家には帰らないんです」
和人は、実際これから山へ行くわけだから半分は本当の事を言い、後半は嘘をついた。
「そうなの?残念ね。そしたら近いうちに連絡ももらえたら嬉しいんだけど・・・これが私の連絡先」女性はそう言って、和人に名刺を渡した。
住所や職業などは書いていなくて、名前と電話番号、メールアドレス、ラインのQRコードだけの名刺だった。
「分かりました。ありがとうございます。俺は名刺って持ってないんで交換できないですけど、そのうちこちらから連絡しますね」
「了解。ありがとう。楽しみに待ってるね」
女性は、艶然と笑って歩き去って行った。
その姿が見えなくなるまで、リキは戦闘態勢を崩さなかった。
女性が離れていくまで待ってから、和人はリキに問いかけた。
「さっきの人って、俺には普通に見えたんだけど、そうじゃなかったわけ?リキがめちゃくちゃ戦闘態勢なのは分かったし」
「関わってはいけない奴って居るもんだぜ」
「あの人って、妖怪とか幽霊じゃないよな」
「人間だと思うけど。ろくでもないこと企んでるし、開発を進めてる奴らの側の人間なのは間違いない」
「リキは、もしかして人の心の中まで読めるの?」
「100%は無理だけど。集中して読み取ろうとすればある程度までは分かる。俺と一緒にいるうちに、和人も色々感覚が鋭くなってきただろ?そのうちこれも出来るようになると思う」
「そうだな。動物達の会話に入れるようになったし。人の精神状態なんかも、前よりは敏感に分かるようになったと思う」
「人の考えてる事を読み取るのはその延長線上の能力で、本来誰にでもあるものだから。今の人間は頭で考え過ぎたり、すぐ理屈で考えるクセがついて鈍くなってるだけで。それがなくなったら、そのうちすぐ分かるようになる」
「そんなものなのかなぁ」
「そんなものだ。ただ、相手が美人だからって鼻の下伸ばしてるようじゃ難しいけどな」
「やっぱりバレてたか。正直、すごく綺麗で魅力的な人だとは思った。この辺りでは見かけないタイプだから、余計そう思うのかな」
「男ならほとんどの奴がフラフラ行っちまうような女を差し向けてくるのも、あいつらのやりそうな事だな。小さな村では、権力を持っているのは村長か、長老か、古い家柄で財産家か・・・大体その辺って決まってるからな。そこさえ陥落させれば、あとは容易いと多分思われてる。奴らの狙い通り、和人はフラフラ行きそうだったけど、最後は踏み止まったな」
「後ろから来るリキのエネルギーが凄かったから。助かったよ。これは何かあるなって思った」「それが分かるだけ和人は敏感だし、感覚が目覚めてきてる。普通、人間は気がつかないからな。あの女は、俺が正面からエネルギーをぶつけても気が付いてなかった」
「たしかに・・・そう言われてみればそうだよな」
「これからもこういう事はあると思うから要注意だぜ。感覚はどんどん鋭くなって、そのうち俺が知らせなくても分かるようになると思うけど。あの女の事は、連絡せずにほっとけば多分大丈夫だと思う。名刺の名前だっておそらく本名じゃない。和人のお父さんを知ってるっていう話も嘘かもな。その程度の個人情報は簡単に調べられる」
歩きながら話して、山道に入るあたりまで来た。
辺りは少し暗くなり始めている。
周りに人も居なさそうなのを確認して、リキは和人を背中に乗せた。
変わった事が無いか見て回るのが目的だから、ゆっくり目に走る。
山の中を横に走って、隣村、更にもう一つ奥の村の方まで行くと、ソーラーパネルが増えているのが目についた。
山林をどんどん伐採してソーラーパネルを敷き詰めるこれが、環境に優しいエネルギーの生み出し方だと謳われているのは、笑えない冗談だと会合では皆んな話している。
開発が進んでいる村では、田んぼや畑の中にもこれがある。山林を伐採したせいで、動物達は住めなくなり、土砂崩れも起きやすくなる。
「こっちの方はまだ無事だな。いつまでかわかんねぇけど」
「和人は反対だろうけど、もしも村を捨てて山に逃げるなら、もっと奥まで行かないと無理だな。この辺りはこれからまだどうなるか分かったもんじゃない」
実際村を捨てて逃げるかどうかは別として、それはその通りだなと和人も思った。
山の様子を一通り見て回ってから和人達が家に戻ると、家では騒ぎが起きていた。
避難所になっていて全員が集まっている和人の家から、盗聴器が出てきたと言う。
