漫画【キングダム】印象に残る戦いのシーン 輪虎と信

漫画キングダムあらすじネタバレ感想

輪虎と信の一騎打ちの場面は、
キングダム全編の中でも特に印象的で
この場面が好きという人も多い。
もちろん私も大好きな場面。
廉頗四天王の一人である輪虎は、
やはり恐ろしく強かった。
そして信にとっても、この戦いが
大きな成長の糧となっている。

この前日輪虎は、王賁と信二人を相手に
戦っている。
その前の輪虎との戦いで負傷していた王賁は
本調子ではなく、自然に戦いの流れは
ほぼ輪虎と信の一騎打ちとなる。

輪虎はこの日の戦いで左手を負傷した。
それにも関わらず翌日、
傷の影響を少しも感じさせない
戦いぶりを見せた。

今回使わせていただいたイラストは、
葱さんとArtemisさんの合作イラストです。
輪虎と信の戦い場面(最初のイラスト他2枚)
葱さんが輪虎、Artemisさんが信の線画を
描かれて、葱さんが雨天をArtemisさん
晴天を描かれています。

雨天と晴天でも随分雰囲気が違いますね。
ここからの私の文章が無くても
美しく迫力ある絵がこの場面の全てを
語ってくれているように感じます。
ありがとうございます。


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キングダムの好きなところの一つは、
主人公側、主人公のいる秦国側からだけでなく
他国の武将に関してもそれぞれの人物像が
生き生きと描かれているところ。

秦国側から見ると、
後に戦いのない世の中を作るため
今は他の六国を全て一度武力で滅ぼす事。
それによって中華を統一するという事が
目標であり正義。
一方、他国から見れば
それぞれの正義と守るべきものがある。

18巻から始まった魏国と秦国の戦い
23巻の途中まで続く長めのストーリー。

輪虎は、廉頗四天王の一人。
廉頗四天王は
姜燕、輪虎、玄峰、介子坊の四人。
廉頗はこの四人に絶対的信頼を置いている。

魏国と秦国の戦い
廉頗は、元趙国三大天の一人だったが
趙王と折り合いが悪く、
魏国へ亡命したという過去がある。
この戦では、その事を考えに入れて
自分は総大将として立たず
表向きは白亀西を総大将とした。

廉頗と輪虎
戦いの序盤、警備の手薄な千人将を狙い、
一人一人倒していく輪虎。
千人将までいった者達なので
どの武将も決して弱くはないはずだけれど、
ほとんど抵抗する間もなく簡単に倒されてしまう。

ここでも輪虎の強さの度合いが分かる。

かつて王騎軍との戦いで、
その防御の壁を突破して王騎に一太刀を浴びせた
というエピソードもあった。

これは廉頗によって語られ、
廉頗がどれほど輪虎を
信頼しているかが伝わってくる。

戦いに連れて行く兵士の数も、
輪虎がこれでいいというなら
これでいいはずだと完全に任せている。

輪虎は廉頗に拾われた。
戦火に巻き込まれ、焼かれた小さな村。
一緒に居た妹は死んでしまったが、
生き残った輪虎を廉頗がひろって育てた。

輪虎が、剣は廉頗から教わり、
戦略は玄峰から教わった
と語っている場面がある。

廉頗が自分にとって父なら玄峰は祖父だったと。

天才的な武の力と智略の両方を持った廉頗。
その廉頗がまた、天才である輪虎を拾った。

輪虎自身も語っている運命的な出会い。
輪虎は「天に愛される武将はほんのひと握りだ
と言う。

最初に信と出会った時、自分が斬った千人将達より
信の方が素質がある事をすぐに見抜いている。

最初は信を殺す事なく見逃した輪虎。

後にこの戦の中で、輪虎は信との一騎打ちに臨む。

輪虎の剣が、信の太腿を深く刺した。
足を負傷した信は、
このままでは不利と見て
輪虎を馬から引きずり下ろす策に出る。
戦いは、馬上での戦いから地上へ。

一騎打ちの場に他の者が入る事は、
あってはならない。
不利な場面で部下に助けられたとなれば
その武将にとっては一生の汚点となる。
魏国側、秦国側
負けられないのはどちらも同じだった。
遂に我慢が出来なくなった魏国側の武将
魏良が、信に斬りかかる。
それを止めに入る秦国側の楚水。
魏良を斬り、輪虎を目の前にした楚水は
輪虎に斬りかかった。

斬りかかった楚水に輪虎の注意が向いた
一瞬の隙を、信は見逃さなかった。
この時の信の一太刀が、勝敗を分けた。

輪虎は明らかに致命傷を負いながらも
もう一度立ち上がる。

廉頗の元に帰らなければいけない。
ここで死ぬわけにはいかないという精神力だけで。

ここは何度読んでも鳥肌の立つような場面。

この後に、廉頗との出会いの事が語られる。

信と戦いながら輪虎が思う。
「ひょっとしたら殿が亡命し前線から退いた時
僕の役目は終わっていたのかもしれませんね
それでも今ここで戦っているのは
これもまた天の計らいか・・・」
最後に輪虎が信に対して思ったのは何だったのか。

「君もまた深く・・」の後に続く言葉は、
天に愛される武将という言葉なのかと想像する。


輪虎が討たれた後、この戦の最後にも廉頗は
「輪虎が討たれていなければ立て直しは出来た」
と語っている。
それほどに、
輪虎が負ける事はあり得ないという信頼を
置いていたということの現れだと思う。

信が持ってきた輪虎の剣を見るまで、
廉頗は輪虎が倒された事を信じていなかった。
でもそれが事実だと分かった時廉頗は、
王騎の矛を受け継いだ少年の信に
輪虎の剣を渡してその場から去って行く。

輪虎の思いも信が受け継いだ場面。


信が輪虎を討った最後の場面も、とても印象的。
「早く首を刎ねて掲げて戦場を回れ」
と言われても、信にはそれができなかった。

輪虎を見る信の表情を見て、
信の気持ちを察した副長の渕さん。
首を掲げて回らなくても輪虎を討った事は
広まると皆に告げた。

輪虎と信の間には、敵同士ではあっても
お互いの強さに対するリスペクトがある。
それがこの場面の一番好きなところ。

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