桓騎の策 慶舎との頭脳戦
一見意味がないように見えて実は
相手の心理を完全に読んだ桓騎の策。
この巻の見どころは趙軍総大将慶舎と
桓騎の頭脳戦。
もう一つの見どころは、趙国側の集落の
長に助けられた羌瘣と、その時に羌瘣が聞いた話
「離眼の悲劇」
秦国側からだけ見た戦ではなく、敵国側の状況や
人物についての詳しい描写。
それもキングダムの大きな魅力の一つでもある
予想外の桓騎の行動
秦国側、趙国側、両軍の指揮官全員の予測と
全く違う行動を取る桓騎。
攻めるのに絶好の機会がありながら
桓騎は何もしなかった。
誰もが意味不明だと感じたこの行動の裏には
桓騎の策略があった。
沈黙の狩人と呼ばれている敵将慶舎を誘い出す策。
慶舎の戦い方は、
アミにかかった獲物を確実に捕らえて狩る
蜘蛛に例えられている。
敵がアミに飛び込んでくるのをじっと待つ。
そこに飛び込んできた敵は、知らぬ間に罠にはまり、
気がついた時には完全に包囲されていて確実に狩られる。
その慶舎をアミの外に誘い出すのが桓騎の策だった。
桓騎が動かない事に痺れを切らした慶舎が
自分から出てくるのを桓騎は待っていた。
それにのせられて慶舎が出てきたところを狙う。
そして開戦から4日目。
敵軍に挟まれる位置に入ってしまっている飛信隊に
対して、桓騎からの指令はこのままここに留まる
ようにという事だった。
援軍を送ると言われた事を受けて飛信隊はそのまま
留まる。
慶舎の軍が出陣。
主力部隊のほぼ全軍を引き連れて飛信隊に
襲いかかる。
李牧が、桓騎と並べて名指しであげた標的が信。
これは李牧が信を脅威と認識したという事でもある。
丘のふもとで飛信隊が窮地に陥っている時、
丘の中腹でも動きがあった。
突然現れたゼノウの部隊が、
紀彗軍の布陣を斜めに突破して、
丘の下に出てしまった慶舎の首を狙う。
好機と見える時に動かず待って
慶舎をアミの外に誘い出し仕留める事を
最初から計算した桓騎の策だった。
離眼の悲劇
羌瘣が助けられたのは、趙国側の集落の
長の家だった。
最初にこの集落を見つけた時羌瘣は、
これからここで戦が始まるから退避しろと告げに行った。
そこ以外に行くところのない長の老人はそれを無視したが
羌瘣の事は覚えていた。
ここで傷の手当てを受け、
4日目の戦いには飛信隊に戻る羌瘣。
なぜ敵の自分を助けるのかという羌瘣の問いに
長は、ここが趙国の領土になる前から自分達は
住んでいるから自分がどこの国の者という意識が
あまりないだけだと答える。
羌瘣の武の力や立場を知らず
普通の女兵士だと思っていた長は
話しても差し支えないだろうと思い
離眼城に起きた話をする。
羌瘣のすれば、
敵側の重要な情報を得た事にもなる。
離眼城の前城主は
その部隊と共に火あぶりになって処刑された。
敵側に、城内に居た一般大衆全てが人質に取られ
それらの命と引き換えに投降する条件をのんで
紀彗に後を託し死んでいった。
その思いを受け継ぎ、城を守ってきた紀彗。
戦場に紀彗が現れただけで
異様なほど兵の士気が上がる場面があったが、
それはこういうところからきているのかと納得。
飛信隊の突撃
慶舎がアミの外に出た今、飛信隊にとっては
慶舎を討つなら絶好の機会だった。
ここで敵軍が立て直してくればその機会は
失われる。
しかし、突撃するのは飛信隊にとっても
大きな危険を伴う。
慶舎の近衛兵は強く、飛信隊は少数だが
信の檄で皆の士気が一気に上がる。
この場面は、信の隊長としての存在感が
ここまで大きくなったのかというのが見える
この巻全体の中でも特に印象的な場面。
ここでちょうど羌瘣が戻り、
大きな戦力が加わった。
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