反乱の真相と、その結末
35巻の一番の見どころは、成蟜の戦いと最後の場面。
妻の瑠衣との絆、成蟜が信に対して残した言葉も印象的。
成蟜のイメージというと1巻から5巻のあの反乱の時の
しかないと、この巻ではあまりの変化に驚くし、
この巻で成蟜のファンになる人も多いのではと思う。
ビジネス書としての魅力は、これが本当の反乱なのか
裏に策略があるか確証がない中でそれを見極めて対処
するという難しい役割に挑む飛信隊の活躍。
一度は捕まって投獄された成蟜の、脱出成功と
その後の戦い。
もしこれがうまくいかなかったら、呂不韋の思惑通りに
事が進んでいたと思う。
35巻後半は、36巻に続く内容。
魏軍との戦いの始まりが描かれている。
不自然な趙軍の動き
ここに至るまでの流れは(34巻最後の方の内容含め)
突然攻めて来た趙軍を討つために出陣した成蟜。
その成蟜が裏切って屯留の民衆を巻き込み
反乱を起こしたという知らせが咸陽に入った。
これを聞いた政は最初から何かおかしいと感じ、
飛信隊にこの事を知らせる。
しかし、飛信隊が到着する前に、事は起きてしまった。
成蟜が出陣した場所は、北の要所屯留。
その時、里へ帰っていた妻の瑠衣もそこに居た。
成蟜が自ら打って出た理由の一つは、その事だったのかも
しれない。
戦いが始まり、成蟜軍は趙軍を退ける事に成功。
成蟜は、あまりにも趙軍があっさり引いた事に
不自然さを感じていた。
一方、瑠衣が帰って祖母を訪ねると、そこには
城内全般を任されているという見慣れない男がいた。
外で戦いが始まってここは危険だからと言って
瑠衣を無理やり外に連れ出すが、瑠衣は何か
おかしいと感じる。
策にはまる
この男は呂不韋とつながっていた。
最初から全てが仕組まれていた事だった。
反乱を起こした王弟側と、討伐に向かう大王側が
戦えば、双方の兵力は大きく削がれる。
内乱が起きたと外に知れれば、王族に対する不信感も
高まり、同士討ちとなった大王陣営はさらに力を失う。
そこが呂不韋の狙いで、
黙って見ていても自分に有利に事が運ぶという
計算があった。
呂不韋は、
これを始まりとして本気で国を盗るつもりだった。
瑠衣に会いに来た成蟜は、捕獲されてしまう。
しかし成蟜は、獄の見張りの兵に取引を持ちかけて
脱出に成功する。
反乱を起こした屯留の軍に討伐隊が向けられる。
討伐隊の将は、この二年で出世して将軍になった壁。
壁も、今回の事情は政から聞いていた。
壁の軍の役目は反乱軍を討つことで、もしこれが
思った通り策略だった場合、成蟜救出は飛信隊の
役目だった。
壁の三万の軍と反乱軍がぶつかる前、突然趙軍が
現れた。
両方の軍からの攻撃に防御が間に合わない壁の軍を、
到着した飛信隊が救った。
結末
この事が策略であると確信した飛信隊は成蟜救出に
向かったが間に合わなかった。
成蟜は脱出に成功したものの、反乱軍の追手との戦いで
致命傷を負い、瑠衣が見守る中息を引き取る。
それを心から悲しむ周りの者達の様子から、
以前とはまるで違う成蟜の人物像が伝わってくる。
壁の軍は反乱軍の将を討ち、戦いは終わった。
36巻に続く内容は対魏国戦。
秦国の総大将は騰。
魏国側は、本陣に魏国第一将の呉鳳明が入っていた。
そして、鳳明の師匠にあたる霊凰が出陣する。
秦国側は王賁の策で、玉鳳隊、録嗚未隊、飛信隊、
三隊を主攻とし、同時に攻撃を開始する。
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