ビジネス書キングダム
相手を出し抜く戦術
魏国との戦い序盤。魏国軍の玄峰の策で、秦国は大きなダメージを受ける。
しかし今度は秦国軍の桓騎が、その玄峰を討つ。
両軍の策略の戦いになるこの20巻も、見どころが多い。
この巻最後では、輪虎を討つための蒙恬の策で、三隊が共同で戦う。ついに信、王賁と輪虎が相対する。
玄峰の策
煙幕を使った玄峰の策。煙の中で、音を使って魏軍の弓隊に合図を送り、確実に秦国の兵を狙って矢を打ち込んでくる。
羌瘣は、そのからくりに気が付いた。こちらも音を出してその音を撹乱させるという作戦に出る一方で、信率いる騎馬隊は魏国側の本陣を狙う。
しかし、そこにも玄峰の罠が待っていた。騎兵を仕留める杭の罠が地面に隠されていたのだった。飛信隊は多くの兵を失った。
信達は、わずかしか残っていない人数で敵兵八百の前に放り出された形になった。王賁率いる玉鳳隊が現れたため、その場で皆殺しは避けられたが、玄峰を討つことはできなかった。
秦国軍に大打撃を与えたところで、玄峰はころあいと見て引いていく。
桓騎の策
型破りな戦い方をする、元盗賊だった桓騎。敵軍の陣地に、倒した魏国兵の目玉をくりぬいた物を大量に送りつけるなどの事を平気でやってのける。
死体のもてあそびは敵側の怒りを呼び起こし、かえって士気を上げてしまうこともあるのだが、桓騎が度を越してそれを実行してくることで、魏国側の兵達の間では桓騎に対する恐怖心が生まれていた。
桓騎の策を読んだ玄峰は本陣の場所を突き止めて、介子坊が軍を率いて本陣を攻撃する。
しかし、桓騎の方がさらに上手だった。いきなり魏国本陣に魏国兵に扮した桓騎が現れる。
伝令係の兵の甲冑に血が付いていることに玄峰が気が付いた時はもう遅かった。
桓騎はいとも簡単に玄峰を討った。
蒙恬の策
普段はライバル同士の信、王賁、蒙恬。
蒙恬は、輪虎を討つために、三隊が協力して戦う事を二人に提案する。
一番血を流すつぶれ役をかって出た蒙恬。蒙恬率いる楽華隊は、輪虎本人ではなく輪虎兵を狙う。
輪虎兵がかなり減ったところで、飛信隊、玉鳳隊が突入する。
蒙恬の檄
戦いの前「今日はひどい死闘になる」と兵士達に語りかける蒙恬。
蒙恬は普段、部下頼みをしない。その蒙恬が無理を強いてくる時は、よほど重大な責務があると皆知っている。
「悪いがよろしく頼むよ。みんな」
蒙恬のこの言葉で思いが伝わり、多くを語らなくても皆の士気は上がった。
蒙驁の檄
話の順序は前後するが、もう一つの印象的な場面。
秦国軍総大将の蒙驁の檄。
「守り」という事を語る蒙驁。
大将を守り抜く事、そして自分の命こそ守り抜く事。
「我が戦友達、兄弟達、我が息子達・・・」
そう語りかける蒙驁。
大将軍らしくないこの檄で兵士達の士気は上がる。
檄というと、力強く威勢のいいものをイメージするが、必ずしもそういう檄ばかりでもないというのがわかるこの場面。
人がついてくるリーダーにも、いろんなタイプの人物がいるのは今の現実社会でも同じ。
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