撩陽の勝利
前の巻から続く、楊端和と山の民の戦士達の戦い、
飛信隊、玉鳳隊の戦い。
その内容から、それぞれのリーダーと仲間との絆、
なぜ皆が「この人についていこう」と思うのか
「この人がいるから戦える」と思うのかが見えてくる。
このあたりはビジネス書としても魅力的なところ。
他にも、ついにロゾを討った壁の活躍や、
若手二人が率いる隊の覚醒など、見どころの多い53巻。
犬戎王ロゾを討つ
窮地に陥っていた楊端和とバジオウ。
助けが来るのが間に合って二人は命を落とさずに済んだ。
トアクを討った後のフィゴ族の軍もここに駆けつけた。
反対側からはブネンが現れる。
これを追ってきたキタリは、兄の仇であるブネンを討つ。
壁はキタリとの約束で、犬戎王ロゾの首をとると心に誓い、
突き進む。
兵糧を焼かれた事で、楊端和の軍に迷惑をかけてしまい、
それをまだ挽回していないというところで、
もう一度機会をくれと自ら願い出た戦いだった。
壁にとってはここで漢を見せなければならない正念場で、
もう後には引けない。
ロゾは圧倒的に強く、兵士達がどんどん殺されていく中
怯まず突き進む。
フィゴ王ダントが、ロゾと戦っている。
ダントでさえ苦戦するほど相手は強かった。
ロゾの背を守る親衛隊も強く、なかなか近づく事もできない。
やっと近づいて後ろから矛を振り下ろすが失敗。
地面に叩きつけられてしまう。
その隙に今度はダントが反撃に出た。
ダントはロゾを落馬させることには成功したが、
ロゾはすぐに起き上がり、また襲いかかってくる。
この時、気絶していたかに見えた壁が立ち上がり、
背後から矛の一振りでロゾを絶命させる。
撩陽の城では、犬戎族が楊端和につく事決めていて
城は山の民の軍が占拠していた。
ロゾの圧政に苦しめられていた犬戎族は、ロゾが
死んだ今、支配者ではなく仲間になるという楊端和を
信じる事に決めていた。
楊端和は、ロゾの首をとる事、城をとる事の両方を
最初から狙っていて、それを狙い通り手に入れた。
朱海平原の戦い
王賁の出生の秘話
亜光が重傷を負って戦線から離脱した今、
右翼は将不在のままの戦いになっていた。
それでも善戦し10日目を凌いだが、
こやはり右翼には新しい将が必要で、
それには王賁を右翼の将にという
兵士達の声が上がっていた。
しかし、王翦はそれを承認しなかった。
王翦と王賁の関係に違和感を感じていた信は、
その日の夜に偶然、関常と番陽の会話を聞いてしまう。
途中まで聞かれたからには、おかしな吹聴をされるより
全て話すと決めた番陽の話によると、王賁は王翦の
実の息子ではない可能性があるということだった。
朱海平原11日目。
いよいよ兵糧が尽きてきた。
1日分を切り詰めて2日分にしても、あと
2日分で本当に最後だった。
趙国側もそれを知っている。
この戦いは、12日目が勝負となる。
この日の前の夜、王賁から信に話があると言い、
翌日の戦の事を話した。
明日勝つには、玉鳳隊、飛信隊の覚醒が必須だと
王賁は言う。
話し終わってから、
二人はそれぞれ、この一晩での隊の覚醒について
考えたがこれという案は何も浮かばないまま
翌朝を迎えることになる。
隊の覚醒
12日目、開戦前の朝。
信、王賁はそれぞれ自分の隊の兵士達に語りかける。
それは偶然にもほぼ同時に始まった。
この日の朝、どちらの隊の兵士達も足取りは重かった。
疲れと空腹に加えて、王翦将軍が右翼を見捨てているという
噂も広がっていたからだった。
しかし二人の隊長の檄によって、飛信隊、玉鳳隊の士気は爆発する。
この二人それぞれの、
兵士達に語りかける熱い言葉はぜひ原作で読んで欲しい場面。
憧れ、尊敬する隊長からの
「力を貸してくれ」という言葉に奮い立たない者はいない。
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