信が王騎将軍から受け継いだものは矛だけではなかったと思う。
この時まだ百人将だった信が受け継ぐ事は普通あり得ないから、
矛を受け継いだだけでも凄いと思うけれど。
実写映画では、何万もの大軍を率いる王騎将軍を、
子供だった信が遠くから見つめるというシーンが
映画の一番最初の場面として出てくる。
「天下の大将軍」というものへの憧れが
心に芽生えた瞬間といったところだろうか。
その後、王都奪還の戦いの場面で、
政と問答しに来た王騎将軍と言葉を交わす。
原作ではこの二つの場面は両方とも無い。
王都奪還の戦いの場面では、
二人の問答が終わって王騎軍が撤収した後、
戦いを終えた信が竭氏の首を持って、
バジオウ、タジフらと共に戻ってくる。
ちょうど入れ違いになったので会ってはいない。
原作の方では、王騎将軍は初めの方から登場しているが、
信が将軍と顔を合わすのは随分後になってから。
七巻の途中で初めてその場面が出てくる。
王騎将軍は、今はもう戦に興味を示さず
引退しているという設定は映画も原作も共通。
戦に初めて参加した信はもちろん王騎将軍を知らないし、
敵か味方かも分からず得体の知れない人物という感じに見ている。
「デカすぎてわからねぇ」という感覚を持ったというのは、
その強さや大きさを、どこかで感じ取っていた様子。
無礼極まりない言葉は吐くわ、勢いだけはある信(^_^*)
こういうところも信らしさだと思う。
このブログのアイキャッチ画像はArtemis様からいただきました。
Artemis様の他のキングダムキャラのイラストがこちらから沢山観れます。
この時の会話で、将軍というものがどういうものかという事が
「少し分かった気がする」と感じる信。
それまでは、
今で言うと子供がテレビ番組のヒーローに憧れるような感じで、
将軍というのは強くて凄くてかっこいいもんだという漠然とした
イメージを持って憧れていたというところかと思う。
秦国と魏国との戦いを例に王騎将軍が語った
「戦は武将しだい」という言葉。
それは、時には多くの犠牲が出る事もわかりながら
勝利のために道を描き導くのが、たった二人の将軍だという事。
その武将の決断一つで何万の兵が動く。
それが将軍という存在。
信が王騎将軍と一番長く話せたのはこの場面かも知れない。
その次に会うのは、無謀な直談判の場面。
この時無理やり巻き込まれた連絡係の渕も、
後に飛信隊副長として大きな働きをする事になる。
無国籍地帯を平定してこいという課題。
これが王騎流の修行だった。
一見かなり乱暴に見えるけれど、実戦に勝る修行はない。
そして本当に、後の戦でこの修行が生きてくる事になる。
趙国との戦いで、王騎将軍は信の百人隊に、
両軍が戦っている中で側面から突入して敵将馮忌を討てと命じた。
信は見事にこれをやり遂げる。
信の百人隊に飛信隊という名を与えたのも王騎将軍。
この戦の最後に、
李牧の策にはまった王騎将軍は命を落とすので、
王騎を総大将とする戦に信が参加したのはこれが最初で最後になる。
会った回数で言うと、たった数回だけ。
それでも信が王騎将軍から学んだものは本当に沢山あると思う。
天下の大将軍。信が目指す道の目標となるような存在が王騎将軍。
