二次創作小説第8話 見えた希望と新たな事件

二次創作小説

この話だけ読むと、何のことか分からないと
と思います。
1話の前に設定や内容の説明書いてます。
よろしければ見ていただいて、
もしご興味あれば1話からどうぞ。

彼らの計画の全体像 宇髄天元

「あの写真まだスマホに残ってんの?」

「そのままにしている」

「大丈夫なんでしょうね」

「俺も詳しくないのでそういうことは分からない。忍びこんだのが俺達だとはバレてないと思うから、今のところ特に警戒されてはいないと思う」

「あいつら来てから見るか?」

「そうだな。ここは夜になると両親も戻ってくるから、俺の部屋で話そう。俺の部屋は離れだから、何時まで話していても気を遣わなくていいし話の内容も外には聞こえにくい。遅くなればそのまま泊まってくれてもかまわない」

「あ、連絡来てる。着いたって」

冨岡と不死川から、門の外まで来たという連絡が入って、煉獄が迎えに行った。

冨岡も煉獄と一緒にあの施設に行っているから、その話が聞けるかもしれない。

不死川と伊黒が調べてたどり着いた、病院の地下で行われているらしい実験についても詳しく聞いておきたい。

「遺伝子組み換え食品があるぐらいだしね。人間でもそれやれんのかも」

「気持ちの良くない話だな」

「それいうならここでやってる事全部気持ちの良くないことばっかだろ」

「日本にももう入ってきてるかもしれねぇけど、安い肉作んのに遺伝子組み換えて筋肉量何倍かの家畜作ったりしてるらしいしなァ。足が六本ある鶏とかァ」

「それは俺も見た事がある」

「俺も見た。安くて美味い肉を大量に作れるからって、むしろいい方法が出来たみたいな。プラスのイメージに見せようとする内容だったわ」

「気持ち悪いとしか思えねぇけどなァ」

「俺もそれは食いたくない」

「人間の場合だと、筋肉量を増やして異常に発達させた人間とか痛みを感じねぇ人間とか、色々作れんじゃない?」

「そうかもしれない。全てを写真に収めることは出来なかったが、あの光景は異様だった」

「この写真だけでも十分気色悪りぃわ」

「思い通り動かす存在として戦闘用アンドロイドだけでは足りなくて、人間を作り替えて何か作ろうという事らしいな。人間の脳ばかりを並べた部屋もあったが・・・あれも何かの研究なのだろうか」

「この写真のやつね。これも気持ち悪りぃ」

「あれじゃねぇかァ。肉体を捨てて仮想現実の中で生きるとかァ。なんかそんな話あったよなァ。脳だけ残ってりゃ意識はあるし、頭ん中だけで好きな事して生きてられるって理屈だろォ。冗談じゃねぇけどなァ。そういうの望む奴も居るんじゃねぇかァ」

この事も確かに、最近少しずつ表に出てきている情報なので、俺も聞いた事があった。

「次から次へと、よくもまあ気持ち悪い事ばっか考えるよね」

人類全体の数からするとほんの一握りの権力者。超富裕層の連中。

そいつらが頂点に立って好きなように支配するために、思い通りに動く人間を作る研究をしている。

奴らが不老長寿を目指す欲望のためにも、人間の子供の肉体が物のように利用されている。

鬼が居た大正時代以上に、一見平和になった今の方が、とんでもない事が裏で行われようとしている。

鬼舞辻も間違いなく権力者の一人ではあるけれど、トップから見るとまだ下の方なのかもしれない。

一番上に居る存在は、一体どんな奴なのか。

大正時代を振り返っても、鬼の始祖だった鬼舞辻は俺達の前になかなか姿を見せなかった。今度も同じなのか・・・

鬼舞辻がむしろ表に出てきているという事は、その上には必ず、姿を見せない存在がいる。

見えた希望

「悪いことばっかじゃねぇぞォ。通知来てんの見たかァ?」

不死川がスマホの画面を確認している。

全員に同じ連絡が来ているはずなので、それぞれに自分のスマホを見る。

「さすがカナエ先生だな」

「実際に試した事はまだないって書いてあるけど。でもこれが完成したら・・・」

「知らずに治験のバイトに行った人を救えるかもしれないな」

最初の十三人のメンバーに加えて、生物教師の胡蝶カナエが最近加わっている。

前世の事を実は覚えていて、一人で密かにやろうとしていたのを不死川が気がついて声をかけた。

前世では鬼殺隊の柱だった人間が、もう一人加わった事は心強い。

前世では早くに命を落としてしまったので、後から鬼殺隊入ってきた煉獄、時透、伊黒、甘露寺は面識が無いけれど。

今世では職場で毎日会っている人間同士。すぐに意気投合した。

きっかけは、カナエの直接の知り合いの女性が、ある時から急に様子がおかしくなり、何が起きているのか調べ始めたところ治験のバイトに行き着いたという事だった。

その女性の血液を調べたところ、血液の中に蠢く何か生き物のような物が見られた。

それは触手を何本も持ったヒドラのような形をしていて、自分の意思を持って増殖しているようにも見える。

これの影響を受けた人間の脳は、肉体を乗っ取られた状態になる。

遠隔で操作されれば、思い通りに動かされてしまうのかもしれない。

特に悩みがあった様子もない健康な若者の、理由の分からない突然の自殺。

飲酒運転や発作を起こすような持病があったわけでもないのに、運転中に突然車を暴走させて建物に激突。

理由もなく突然攻撃的になり、周りの人に襲いかかる。

こういう事件がここ数年で急激に増えているのは、ストレス社会だから病んでいる人が多いだけでは説明がつかない。

テレビのニュースでは、そういう理由ではないかと言われているけれど。そんなものではなく、明らかにおかしい。

この原因を探って突き止め、対処する方法を探してきて、その中の一つが解毒という事だ。

そうなってしまった人達を元に戻す方法。

この薬の研究に、今は胡蝶しのぶも加わっている。

学園には財力があるので、研究費は理事長が密かに出している。

研究に関するヒントも理事長が出しているようで、医学の知識が特にあるわけでもないのに不思議な人だ。

俺達の知らない人脈から、情報を得ているのかもしれない。

「鬼を元に戻せた例は大正時代にもあったからね。今だって不可能じゃないでしょ」

「鬼も元は人間だからな。鬼舞辻の血を入れられて鬼になると、自分が人間だった頃のことは忘れてしまう。自我を乗っ取られた状態で、命令されればその通りに動く。今起きている事も、それと同じような状況ではないだろうか」

「鬼舞辻の血に相当するのが、そのヒドラみてぇな気色悪い生きもんで、それを知らずに来た奴らの体に注射か薬か何かで入れてるって事だろォ。全員うまく捕まえて解毒できりゃあいいけどォ。鬼だって元は人間でも、他の人間を襲った場合は斬るしかなかっただろォ」

「全員を救うのは土台無理だ。鬼狩りをやっていた頃も、一般人が鬼に食われる被害は出ていたし、俺達が斬った鬼も元は人間だからな」

不死川の言う事も、冨岡の言う事もわかる。

鬼を斬っても斬っても、救いきれなかった命が沢山溢れ落ちていった。

それでも俺達は、自分に出来る限りの事をやるしかなかった。

今もそれは同じだ。

情報の拡散に向けて

「肉体を乗ったられたような状態になって、他の人間を襲う者が出てきた場合、非殺傷の武器を使ってうまく捕らえられれば解毒できるという事だな。けれどもしそれが不可能だった時は、襲われている人を救うためには手加減しているわけにはいかない」

煉獄が言った事に、俺も同意だ。

事実、理事長が襲撃された時・・・あの時は戦闘用アンドロイドだったが、もしあれが人間だったとしても俺達は同じように戦ったと思う。

「自分や身近な人間を守るためだけでも、いざとなりゃあ戦うしか無いしでしょ。そうなった時は結局鬼狩り頃とやる事は同じだわ。けどその前に・・・もう一つの作戦の方がうまくいって、奴らの計画が世間に知れ渡った場合は・・・戦わずして勝てる可能性もあるって事。知ってればそれに乗らない人間は多いと思うし。そうなったらあとは、すでにやられちまった奴を捕まえて解毒するだけでしょ」

「それは言えるなァ。奴らが変な事進めてきてても皆んな知ってて相手にしなきゃ普通に終わるしなァ」

「情報統制も最近きついけどね。どのタイミングでどの程度出して行くかだわ」

「宇髄のアカウントはかなり人気のようだな」

「分かりやすいメッセージはまだ出してないし、どこまで気付いて見てもらえてるかだけど」

「あまり分かりやすく出してもアカウントを消されて終わりだからな。それくらいでいいのだと思う」

「お前の出してる歴史の裏側の話の方がヤバいんじゃないの?」

「今はまだフォロワー数が大した事ないからな。目をつけられるまではいかないと思う」

「増え出したら早いかもしれないぞ」

とにかく最初は、直接情報を出さなくてもいいから見てくれる人を増やせということだった。

理事長自身も、表の自分のアカウント以外にもう一つ作って発信すると言っていた。

ある程度見てもらえるものが出来たところで少しずつ、こちらの得ている情報を流していく。

そんなにゆっくりしていて大丈夫かとも思うけれど、彼らが計画の実行を加速させ完成に近づけようとしているのは来年の2025年の終わり頃らしい。

俺達も知らないところで情報を集めている理事長がそう言っていた。

情報の拡散は今年いっぱいかけて、着実にやっていこうという事だった。

悲鳴嶼さんの猫の動画もなかなかの人気らしい。

胡蝶はハーブの育て方や活用の仕方を出していて、これも着実に再生数が伸びている。

甘露寺が出している美味い飲食店の情報も閲覧数が上がってきている。

伊黒は甘露寺に協力して一緒にやっていて、不死川と冨岡は悲鳴嶼さんの猫動画に協力しているらしい。

動物関連はやっぱり根強い人気がある。

学生組では、実家がパン屋をやっている竈門が、家で出来るパンの作り方などの情報を出していて、我妻、嘴平、時透が発信を手伝っている。

今のところ、一番核心に触れる情報をはっきり出しているのが煉獄で、その次が俺の動画で、これは情報に興味を持っている奴なら分かるいう内容。

話し込んでいるうちに夜も遅くなってきて、自然に泊まる流れになった。

新たな事件

台所もトイレも風呂場も母屋とは別にあるこの場所は、ちょっとした宿泊所のようにも見える。

煉獄が遠慮するなと言うので、皆好き勝手に風呂を使い、冷蔵庫からてきとうに材料を出して、飯を作って食べた。

明日は日曜日で職場に行かなくていいし、朝はゆっくり寝ていられる。

夏なので、掛け布団もいらない。

二つある窓を網戸にして全開にすると、涼しい風も入ってくる。

皆んな眠気が限界に来ていたのか、横になるとすぐに寝始めた。

皆んなの寝息を聞きながら、ぼーっとしているうちに、俺もいつしか眠りに落ちていた。

何分経ったのか何時間経ったのか・・・俺は目を覚ました。

何だ?この音・・・

どこから聞こえる?母屋の方か?

完全に目を覚ました俺は、音の方に意識を集中した。

ここでは俺以外、三人ともまだよく眠っている。

俺は前世からの影響なのか、普通よりも音に敏感な体質らしい。

誰かの足音・・・泥棒か?

俺は、体を起こして入り口の方を見た。

「・・・ん・・どうした?・・・宇髄」

俺の隣で横になっていた煉獄が、俺が起きた気配で目を覚ました。

「音が聞こえた気がした。母屋の方からだ」

「行こう」

煉獄も飛び起きて、すぐに立ち上がった。

俺の気のせいであればいい。

けれど何かあってからでは遅い。

煉獄が起きて俺と会話していた事で、冨岡と不死川もすぐ目を覚ました。

全員で母屋の方に向かう。

時刻は明け方。四時を回ったところで外はまだ暗い。

勝手口を開けて台所から中に入る。

人の気配は無い。

もしかしたらどこかに隠れているのか・・・

電気をつけ、人の隠れられそうな場所は確認したが誰もいない。

台所を通り抜けて廊下へ出る。

「こんな時間にどうした?!」

俺達がドヤドヤと入っていった事で目が覚めたのか、親父さんが寝室の戸を開けて顔を出している。

「父上。ご無事で良かったです」

「勝手にお邪魔していてすみません。こちらから音が聞こえたようなので」

「音が?気がつかなかったが・・・」

父親に続いて、母親も寝室から出てきた。

「千寿郎は・・・」

廊下の突き当たり、一番奥の部屋の扉を煉獄が叩く。

「千寿郎!大丈夫か?・・・寝ているのか?開けるぞ」

扉を開け、壁のスイッチを押して電気をつける。

俺達も全員集まってきて扉の中を覗いた。

部屋の真ん中に敷いた布団。一見人が寝ているように掛け布団が盛り上がっているけれど・・・何か違和感がある。

煉獄が掛布布団を捲り上げると出てきたのは、部屋にあった座布団と枕を入れて膨らませただけのものだった。

「千寿郎・・・」

全員の表情が凍りつく。

普通に閉まっているように見えた外に通じる寝室の窓は、押すと簡単に開いた。

「鍵が・・・壊されている」

「警察に通報しろ!早く!」

「俺達も探そう。まだ遠くへはいっていないかもしれない」

言いながら煉獄はもう走り出していた。

通報は両親がやってくれるだろう。

俺達は全員、煉獄に続いて外に飛び出した。

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